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車いすテニス選手たちの環境

今回は、車いすテニス選手の環境についてお知らせします。

ご存じのとおり、日本の車いすテニス選手のレベルは世界トップクラスです。とすると、「世界トップ=プロ選手」と想像されるかもしれませんが、実際は、ほとんどの選手が仕事とテニスの両立をしています。会社に出社して、休み時間やその他すべての時間をテニスにつぎ込んでいるのが現状です。このような状態で選手活動を続けるいちばんの悩みは、練習時間の確保です。そして大会期間中も選手はたいへんです。
よく私たちは「疲れを取るためにゆっくりお風呂に入ろう」と言いますが、車いすテニスの選手の場合、入浴に一時間くらいかかってしまうため、逆にお風呂にゆっくり入ると「ハァー、疲れた」という感じになってしま うことが多いようです。
このように、選手は厳しい現実の中でよく頑張っています。海外では、車いすテニスのトップ選手が有名自動車メーカーと個人契約をしたりしているケースもいますが、日本にはそのような例はありません。私自身、「選手のためにスポンサーを探すぞ」と意気込んで、いろいろと当たってみましたが、ほとんどの企業担当者に「とてもいい話で非常に興味はあるのですが、なんせ今の時代…」と言われてしまいました。
それならば「今できることを頑張るしかない」ということで、私は選手と「この一球を大切に」と心がけコツコツと前進できるように日々練習をしています。
中には、「何のためにやっているの?すべてつぎ込み、何の保障もないのにそれって自己満足でしょ」と友達から言われた選手もいるようです。選手は、見返りを期待してテニスをしているのではありません。ある選手は「自己満足でいい。打ち込めば悔いは残らないし後悔は絶対したくない」と言っています。
これを聞いて私は、スポンサー問題やその他のことが問題ではないとハッキリと気づきました(選手はスポンサーがいたらありがたいとも言ってはいますが)。仕事とテニスの両立で充実している選手の姿が、非常に普通にかっこいいと感じました。もしプロとして立場が変わってしまうと、結果のみが追求されて追い込まれていくこともあると思います。それを考えると「自分の考えのとおり進み、答えを出していくこともよいのではないか」と思いました。

中澤 吉裕  (なかざわ よしひろ)

日本車いすテニス協会コーチングスタッフ、2002ワールドチームカップ・イタリア大会日本代表監督。2004年ワールドチームカップ・ニュージーランド大会にも日本代表クアードチームを率いて参加、世界3位に導いた。ジュニア・車椅子選手の指導に熱意をそそぐ毎日を送る。

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